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2026年05月07日

なぜあん摩マッサージ指圧は、関節・姿勢・歩行なのか

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―揉むだけではない、身体を動かし、整え、生活を支える専門技術―

あん摩マッサージ指圧と聞くと、多くの方は寝た状態で身体を揉んでもらうものと考えるかもしれません。

しかし、本来のあん摩マッサージ指圧は、単に筋肉を揉むだけの技術ではありません。
身体を押す、さする、伸ばす、動かす、整える。
さらに、立位保持や歩行、関節運動など、身体機能の維持・改善に関わる幅広い技術を含む、総合的な手技療法です。

実際、あん摩マッサージ指圧は、東洋由来のあん摩、西洋由来のマッサージ、そして日本で体系化された指圧が一つにまとめられた国家資格です。
つまり、ひとつの技術名ではなく、身体に対する多様な手技を包括した専門領域と考えるべきものです。
 

 

あん摩とは導き、押し、整える技術である

あん摩の本質を考えるうえで重要なのが、導引・按・矯という考え方です。

導引とは、身体を動かし、姿勢や呼吸、関節の動きを整えていく考え方です。
現代的にいえば、自動運動、他動運動、関節運動、立位保持、歩行誘導などに通じる要素があります。

按は、押す、さする、揉む、伸ばすといった手技です。
これは一般的にイメージされるマッサージに近い部分ですが、本来は単なる揉捏だけではなく、圧の方向、深さ、角度、筋肉や関節の状態を見ながら行う身体操作です。

矯は、身体の偏りや動きの癖を整える考え方です。
関節の動き、姿勢、体幹や四肢のバランスを確認しながら、より動きやすい身体の状態へ導いていく技術です。

つまり、あん摩とは揉むだけではありません。
身体を動かし、押し、整え、生活動作につなげていく総合的な身体技術なのです。
 

 

マッサージとは西洋手技の総称である

マッサージという言葉も、現在ではリラクゼーションの印象が強くなっています。

しかし、本来のマッサージは、西洋医学の流れの中で発展してきた幅広い手技療法です。
軽擦、揉捏、強擦、叩打、振動だけでなく、ストレッチング、関節への働きかけ、筋膜へのアプローチ、運動を伴う手技なども、広い意味でマッサージの体系に含まれてきました。

したがって、マッサージはただ揉むだけという理解は、かなり狭い見方です。

特に訪問マッサージの現場では、筋緊張の緩和、疼痛の軽減、関節可動域の維持・改善、むくみへの対応、寝返り・起き上がり・立位・歩行などの生活動作への支援が重要になります。
 

 

指圧とは、押すだけではなく身体を整える技術である

指圧もまた、ツボを押すだけと思われがちです。

しかし、指圧は日本で発展した独自の体系であり、東洋的な身体観、西洋的な手技、柔術活法や整体的な考え方などが結びついています。
身体を部分ではなく全体として見て、筋肉・関節・姿勢・動きのつながりを整えていく技術です。

そのため、あん摩・マッサージ・指圧を一体として考えると、この資格は身体を揉む資格ではなく、身体に手技で関わり、動きや生活機能を支える資格と理解する方が自然です。
 

 

歩行や運動は、あん摩マッサージ指圧と無関係ではない

訪問マッサージの現場では、関節拘縮、筋萎縮、麻痺、廃用、疼痛、歩行困難などに対応する場面が多くあります。

このとき、ただ寝た状態で筋肉を揉むだけでは不十分な場合があります。

たとえば、次のような関わりが必要になることがあります。

  • 関節をゆっくり動かす
  • 足関節や膝関節の可動域を確認する
  • 座位姿勢を整える
  • 立ち上がり動作を確認する
  • 立位保持を行う
  • 歩行状態を確認する
  • 歩行時のふらつきや下肢の使い方を見る
  • 身体の動きに合わせて手技を調整する

これらはマッサージとは別のものと切り離すべきではありません。
身体を動かし、整え、生活動作につなげることは、あん摩マッサージ指圧の本質に深く関わるものです。
導引、歩行誘導、立位保持、関節可動域訓練などは、本来のあん摩の中心的要素として整理されています。
 

 

理学療法士とは別資格である。しかし、身体機能に関わる専門職である

ここで誤解してはいけないのは、あん摩マッサージ指圧師と理学療法士は同じ資格ではないということです。

理学療法士には理学療法士としての制度上の役割があり、あん摩マッサージ指圧師にはあん摩マッサージ指圧師としての制度上の役割があります。

しかし、別資格であるということと、あん摩マッサージ指圧師は揉むことしかできないということは、まったく別の話です。

日本のリハビリテーション黎明期には、理学療法士制度が成立する以前から、病院マッサージ師や理療士系職員が機能訓練に関わっていた歴史があります。
鹿教湯病院の初期の実践や昭和40年の国会答弁などを通じて、当時の病院マッサージ師が理学療法に近い領域に関わっていた事実が紹介されています。

つまり、あん摩マッサージ指圧師を慰安的に揉むだけの人と見るのは、歴史的にも実務的にも非常に狭い理解です。
 

 

法律上も、危険行為や医行為との線引きが重要である

もちろん、あん摩マッサージ指圧師が何でもできるわけではありません。

現行のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律では、施術者が外科手術を行うこと、薬品を投与すること、薬品投与を指示することなどは禁止されています。

したがって、あん摩マッサージ指圧師の施術は、医師の診断や医療行為を代替するものではありません。

大切なのは、危険行為や医行為を行うことではなく、国家資格者として安全に配慮しながら、筋肉、関節、姿勢、疼痛、動作、生活機能に対して手技で関わることです。
 

 

訪問マッサージにおける本当の役割

訪問マッサージの対象となる方は、歩行困難、寝たきり、関節拘縮、筋力低下、麻痺、慢性的な痛み、むくみなどを抱えていることが少なくありません。

そのため、訪問マッサージでは、単に気持ちよく揉むだけではなく、次のような目的が重要になります。

  • 筋緊張をやわらげる
  • 痛みを軽減する
  • 関節の動きを保つ
  • むくみや循環状態に配慮する
  • 座位や立位を安定させる
  • 移乗や歩行につながる身体機能を維持する
  • 日常生活動作の負担を少しでも減らす

つまり、訪問マッサージとは、寝たきりの方や歩行困難な方に対して、手技を通じて身体機能と生活を支える専門的な関わりです。

そこには、揉む技術だけでなく、観察する力、動きを見る力、関節を扱う力、姿勢を整える力、生活動作につなげる力が求められます。
 

 

あん摩マッサージ指圧とは何か

あん摩マッサージ指圧とは、単なるリラクゼーションではありません。

それは、東洋のあん摩、西洋のマッサージ、日本の指圧を統合した国家資格に基づく専門的手技です。

その本質は、身体を揉むことだけではなく、身体を動かし、押し、伸ばし、整え、生活動作につなげることにあります。

特に訪問マッサージの現場では、関節拘縮、筋萎縮、麻痺、疼痛、歩行困難などに対して、筋肉・関節・姿勢・動作を総合的に見ながら施術を行います。

あん摩マッサージ指圧は、寝かせて揉むだけの技術ではありません。

人の身体に触れ、状態を見極め、動きを導き、生活を支える。
それが、本来のあん摩マッサージ指圧です。
 

 

参考リンク

 

 

 

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2026年05月05日

改善とは

 

 

相手が「改善」と認識したとき、改善は成立する

訪問マッサージにおいて、「改善」とは何でしょうか。

施術者が一方的に、

「良くなりました」

「筋肉がほぐれました」

「関節が動きやすくなりました」

「歩きやすくなっています」

と説明しても、それだけで改善が成立するわけではありません。

改善とは、施術者側が主張するものではなく、患者様、ご家族様、ケアマネジャー様、施設職員様など、相手が「これは改善している」と認識して、初めて成立するものです。

つまり、訪問マッサージにおける改善とは、施術前と施術後の変化を見て、その変化が相手にとって意味のあるものとして伝わることだと考えられます。

そのためには、単に「気持ちよかった」「楽になった」という感覚だけでなく、生活の中でどのような変化が起きたのかを、できるだけわかりやすく示すことが大切です。

 

改善とは、過去と現在の変化である

改善とは、過去のある時点と現在の時点を比べたときの変化です。

たとえば、

以前は立位保持が10秒だった方が、20秒立てるようになった。

以前は数歩で疲れていた方が、玄関まで歩けるようになった。

以前は立ち上がりの際に大きくふらついていた方が、少し安定して立ち上がれるようになった。

以前は膝が伸びにくかった方が、施術後に少し膝が伸びやすくなった。

このように、施術前と施術後を比べることで、初めて「変化」が見えてきます。

逆に言えば、施術前の状態をきちんと評価していなければ、後から「改善しました」と言っても、その変化を説明することができません。

訪問マッサージでは、施術そのものも大切ですが、それと同じくらい、施術前の状態を確認し、施術後にどのような変化があったのかを見ることが大切です。

評価がなければ、改善は伝わりません。

 

介護施設・在宅で重要なのは、日常生活動作の変化

介護施設や在宅の現場で重要なのは、単に「筋肉がほぐれたかどうか」だけではありません。

もちろん、筋緊張の緩和、疼痛の軽減、血流の促進、関節可動域の維持・改善は大切です。

しかし、患者様やご家族様、ケアマネジャー様、施設職員様にとってわかりやすいのは、日常生活動作にどのような変化が出たかです。

たとえば、

  • 立位保持時間が伸びたか
  • 立ち上がりが安定したか
  • 歩行距離が伸びたか
  • 関節可動域が広がったか
  • トイレ動作につながる変化が出たか
  • 移乗動作がしやすくなったか
  • 介助量が少しでも軽くなったか

このような変化は、専門知識がない方にも伝わりやすい改善です。

特に、立位保持はトイレ動作に大きく関わります。

立てるか、立てないか。

数秒でも保持できるか。

手すりにつかまって姿勢を保てるか。

これらは、トイレ誘導が可能か、オムツ対応になるかにも関わる重要な要素です。

つまり、訪問マッサージにおける改善は、単なる身体の変化ではなく、生活のしやすさにどうつながるかという視点で見る必要があります。

 

なぜ日常生活動作を最初に見るのか

マッサージの効果は、患者様自身の主観的な感覚として表れることがあります。

「楽になった」

「気持ちよかった」

「身体が軽くなった」

「筋肉がほぐれた感じがする」

このような感想はとても大切です。

ただし、これらは外から見えにくい変化でもあります。

本人様は良さを感じていても、ご家族様やケアマネジャー様、施設職員様には、その変化が伝わりにくい場合があります。

一方で、日常生活動作の変化は、誰にでもわかりやすいです。

立つ。

歩く。

立ち上がる。

手が上がる。

膝が伸びる。

歩行距離が伸びる。

立位保持時間が伸びる。

関節可動域が広がる。

このような変化は、専門知識がなくても見ればわかります。

だからこそ、最初に提示するべきなのは「マッサージそのものの良さ」だけではありません。

まずは、具体的な日常生活動作の変化を見せることが大切です。

そのうえで、マッサージによって筋緊張が緩和したこと、関節が動きやすくなったこと、痛みが軽減したことなどを説明すると、相手にも改善が伝わりやすくなります。

 

見える改善と、相手が大切にしていること

人は、専門的な説明よりも、見てわかる変化を「良くなった」と感じやすい傾向があります。

歩行距離が伸びる。

立位保持時間が伸びる。

関節可動域が広がる。

立ち上がりが安定する。

このような変化は、本人様・ご家族様・支援者の方にも伝わりやすい改善です。

しかし、それを見ても「十分ではない」と感じる方もいます。

たとえば、

「歩行距離よりも、本人が嫌がらないことをすることが大事」

「立位保持時間よりも、トイレ動作が安定することよりマッサージが重要」

「関節可動域だけでなく、楽しいお話も大切」

「運動より本人が無理なく安心して受けられることを重視したい」

このような反応は、決して悪いものではありません。

むしろ、否定的な反応や慎重な反応も大切です。

なぜなら、その反応から、相手が目に見える改善以外の改善や、それ以外の価値観を重視していることが具体的に見えてくるからです。

施術者側が「歩行距離が伸びました」と伝えても、相手は「歩ける距離」よりも「本人が嫌がらずに受けられること」を重視しているかもしれません。

施術者側が「立位保持時間が伸びました」と伝えても、相手は「何秒立てるか」よりも「マッサージで身体が楽になること」を重視しているかもしれません。

施術者側が「関節可動域が広がりました」と伝えても、相手は「角度」よりも「施術中の会話や安心感」を大切にしているかもしれません。

施術者側が「運動を取り入れましょう」と考えても、相手は「無理をさせず、本人が安心して受けられること」を最優先に考えているかもしれません。

つまり、改善には二つの側面があります。

一つは、見てわかる身体的・動作的な改善です。

もう一つは、相手が大切にしている生活上・心理上の価値です。

訪問マッサージでは、見てわかる変化を見ることも大切です。

しかし同時に、相手が何を改善と考えるか、何を大切にしているかを確認することも大切です。

 

相手に目的を聞いても、答えは出にくい

訪問マッサージの現場では、相手に目的を確認することがあります。

「何を目的に施術しましょうか?」

「どのようになりたいですか?」

「何を改善したいですか?」

もちろん、このような質問は大切です。

しかし、実際には、明確な答えがすぐに返ってこないことも多くあります。

なぜなら、人は自分の目的を最初から具体的に言語化できるとは限らないからです。

また、患者様やご家族様が、訪問マッサージで何ができるのかを知らない場合もあります。

立位保持を評価できる。

歩行距離を見ることができる。

立ち上がり動作を確認できる。

関節可動域の変化を確認できる。

トイレ動作につながる変化を見ていくことができる。

このような選択肢を知らなければ、相手は要望を出すことができません。

だからこそ、こちらから具体的な例を出すことが重要です。

「立位保持時間を見てみましょうか」

「歩行距離を確認してみましょうか」

「立ち上がり動作を見てみましょうか」

「トイレ動作につながる変化を見ていきましょうか」

「無理のない範囲で、本人様が安心して受けられる形を確認しましょうか」

このように具体的な提案をすることで、相手は初めて反応できます。

そして、その反応から、相手が何を大切にしているのかが見えてきます。

 

先に改善を見せることが重要

相手が何かを言ってから施術するのではなく、まずこちらが具体的な改善を見せることが重要です。

なぜなら、相手は最初から「訪問マッサージで何ができるのか」を知っているとは限らないからです。

訪問マッサージに対して、

「揉むだけ」

「気持ちよくするだけ」

「痛みをやわらげるだけ」

「リハビリとは違うもの」

というイメージを持っている方もいます。

しかし、訪問マッサージの現場では、筋緊張の緩和、関節可動域の維持・改善、立位保持、歩行状態の確認、立ち上がり動作、トイレ動作につながる身体機能の維持など、生活動作に関わる視点がとても重要になります。

だからこそ、まずは誰にでもわかる変化を示すことが大切です。

  • 立位保持時間を見る
  • 歩行距離を見る
  • 立ち上がり動作を見る
  • 関節可動域を見る
  • トイレ動作につながる変化を見る
  • 本人様が嫌がらずに受けられるかを見る
  • 安心して施術を受けられるかを見る

このように、具体的な改善や変化を示すことで、相手は初めて「訪問マッサージで何を見るべきか」を理解できます。

そして、その反応から、相手の評価基準を確認することができます。

 

改善を伝えるための基本手順

訪問マッサージにおける改善は、次の流れで考えるとわかりやすくなります。

1.施術前に評価する

まず、施術前の状態を確認します。

立位保持時間、歩行距離、立ち上がり動作、関節可動域、疼痛の有無、筋緊張の状態などを把握します。

また、本人様が施術を嫌がっていないか、不安が強くないか、安心して受けられているかも大切な評価です。

ここで大切なのは、後から比較できる形で記録しておくことです。

2.施術後に変化を見る

施術後に、同じ項目を再度確認します。

施術前と比べて、何が変わったのか。

どの動作がしやすくなったのか。

どの部分に変化が出たのか。

本人様の表情や反応はどうだったのか。

この比較によって、改善の有無が見えてきます。

3.日常生活動作という形で示す

改善は、専門用語だけで伝えるのではなく、日常生活動作に置き換えて説明します。

たとえば、

「下肢の筋緊張が緩和しました」だけでなく、

「立ち上がり時の足の出し方が少し安定しました」

「関節可動域が広がりました」だけでなく、

「膝が伸びやすくなり、立位姿勢が取りやすくなりました」

「疼痛が軽減しました」だけでなく、

「歩行時の負担が軽くなり、玄関までの移動がしやすくなりました」

このように伝えることで、相手に改善が届きやすくなります。

また、身体的な変化だけではなく、

「施術中の表情が穏やかでした」

「声かけに対して安心した様子が見られました」

「無理なく施術を受けられていました」

「会話を楽しみにされている様子がありました」

といった変化も、相手によっては大切な改善になります。

4.相手の評価基準を確認する

最後に、相手が何を改善と考えているのかを確認します。

こちらが示した変化に対して、相手がどう反応するかを見ることが大切です。

「それは助かります」

「それよりも本人が嫌がらないことが大事です」

「歩行距離よりも安全性を重視したいです」

「運動よりも、安心してマッサージを受けられることを大切にしたいです」

「身体の変化も大事ですが、楽しい会話も本人にとって大切です」

このような反応から、相手の本当の評価基準が見えてきます。

つまり、改善を示すことは、単に成果を伝えるためだけではありません。

相手が何を大切にしているのかを知るための手段でもあるのです。

 

改善は、身体の変化だけではない

訪問マッサージでは、立位保持、歩行距離、関節可動域、立ち上がり動作など、見てわかる変化を評価することが重要です。

しかし、それだけが改善ではありません。

本人様が安心して受けられること。

施術を嫌がらずに継続できること。

マッサージによって身体が楽になること。

施術者との会話を楽しみにしていること。

無理な運動ではなく、その人に合った関わり方ができること。

これらも、相手にとっては大切な改善である場合があります。

特に高齢者の方や、認知機能の低下がある方、身体機能の低下が進んでいる方の場合、数字だけで改善を判断することはできません。

歩行距離が伸びることも大切です。

立位保持時間が伸びることも大切です。

関節可動域が広がることも大切です。

しかし、それと同じように、本人様が安心して受けられること、嫌がらずに関われること、日々の生活の中で少しでも穏やかな時間が増えることも大切です。

だからこそ、訪問マッサージでは、見える改善と見えにくい改善の両方を見ていく必要があります。

 

改善は、相手に伝わって初めて成立する

訪問マッサージにおける改善とは、施術者が一方的に決めるものではありません。

施術前後の変化を評価し、日常生活動作としてわかりやすく示し、相手がそれを改善として認識して初めて成立します。

重要なのは、次の四つです。

  1. 施術前に評価する
  2. 施術後に変化を見る
  3. 日常生活動作という誰にでもわかる形で示す
  4. 相手の評価基準を確認する

そして、否定的な反応や慎重な反応も大切にすることです。

否定的な反応は、相手が改善を否定しているだけではありません。

目に見える改善以外の改善や、それ以外の価値観を重視しているサインでもあります。

「歩行距離よりも、本人が嫌がらないことを大切にしたい」

「立位保持時間よりも、マッサージで楽になることを大切にしたい」

「関節可動域だけでなく、楽しい会話も大切にしたい」

「運動よりも、本人が無理なく安心して受けられることを重視したい」

このような考え方も、訪問マッサージの現場では大切な評価基準です。

だからこそ、訪問マッサージでは、身体の変化だけを見るのではなく、相手が何を改善と考えているのか、何を大切にしているのかを確認しながら進めていく必要があります。

改善とは、こちらが言うものではなく、相手に伝わるものです。

そして、相手が「これは生活にとって意味のある変化だ」と認識したとき、初めて改善は成立します。

これが、訪問マッサージにおける改善の基本です。

 

 

 

 

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2026年04月25日

あん摩マッサージ指圧法、通知の明文化の必要性

なぜ「あん摩マッサージ指圧は揉むだけ」にされやすいのか

明文化されない職能は消される

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結論から言えば、「もともと出来ること」であっても、制度上きちんと明文化されていなければ、やがて出来ないものとして扱われるようになります。

これは単なる感覚論ではありません。制度の世界では、書かれていることが強く、書かれていないことは弱い。たとえ歴史的には行われていたとしても、条文や通知、運用基準の中に言葉として残されていなければ、後の時代には「そんな業務は認められていない」と扱われてしまうのです。

あん摩マッサージ指圧が「揉むだけ」の技術だと誤解されてきた背景にも、この問題があります。
 

「書かれていない職能」は弱くなる

あはき法は、あん摩マッサージ指圧の内容を細かく定義していません。一方で、理学療法士法では、運動療法や基本動作能力の回復といった内容が具体的に示されています。

そのため現場では、「具体的に書かれている理学療法士の方が正しい」「書かれていないあん摩マッサージ指圧では、歩行や運動に関わってはいけないのではないか」という受け止め方が生まれます。

つまり、法律が禁止していなくても、明文化されていないだけで、現場では否定的に扱われてしまうのです。制度の世界では、沈黙は中立ではありません。沈黙は、しばしば否定として運用されます。
 

現場は条文ではなく「運用」で動く

実際に現場で判断するのは、法律学者ではありません。保険者、審査機関、ケアマネジャー、医師、施設職員などです。

多くの場合、彼らは歴史的経緯や職能論を細かく検討するのではなく、「制度上どこに書いてあるのか」「通知に明記されているのか」「請求上どう扱うのか」で判断します。

その結果、あん摩マッサージ指圧師が起立動作、立位保持、移乗動作、歩行誘導などを行っていても、「それはマッサージではないのではないか」「リハビリではないのか」「PTの仕事ではないのか」と言われてしまうのです。
 

明文化されていない業務は、後から否定される

さらに問題なのは、明文化されていない業務は、後から否定されやすいということです。

最初は問題なく認められていたとしても、ある時点で保険者や審査側の見解が変われば、「それはあん摩の範囲外です」と言われる可能性があります。

返戻、不支給、指導、監査という形で、後出し的に否定される危険が残り続けるのです。

制度の世界では、職能は「実際にできるかどうか」だけでは守られません。「制度上どう書かれているか」によって守られます。

書かれている職能は強く、書かれていない職能は弱い。この差が、時間とともに大きな力の差になります。
 

歩行はPT、マッサージは揉むだけという誤解

その典型が、「歩行=理学療法士」「マッサージ=揉むだけ」という現代的な誤解です。

本来、あん摩マッサージ指圧は、筋肉や関節、疼痛、動作、生活機能に関わる総合的な手技であり、歴史的にも機能訓練や運動的関わりと切り離されたものではありませんでした。

しかし、その領域があん摩マッサージ指圧側の職能として明確に言語化されなかったため、後の制度運用の中で見えにくくなってしまいました。

そして、見えにくくなった職能は、やがて「存在しなかったもの」として扱われます。
 

これは職域の生存に関わる問題である

これは単なる技術論ではありません。あん摩マッサージ指圧は、視覚障害者の重要な職域でもあります。

その職能が「揉むだけ」に狭められていけば、高度な身体機能への関与や、生活動作の維持改善に関わる領域から排除され、低付加価値の職種として固定されてしまう危険があります。

つまり、これは「歩行をしてよいかどうか」という小さな話ではありません。職能の生存に関わる問題です。
 

明文化とは、本来の職能を制度に残すこと

明文化とは、新しい権利を無理に増やすことではありません。本来持っていた領域を、制度の中から消されないように言葉として固定することです。

あん摩マッサージ指圧が本来、筋・関節・疼痛・動作・歩行を含む身体機能に関わる専門的手技であるなら、そのことを制度上も明確に示す必要があります。

そうしなければ、歴史的には存在した職能であっても、運用の中で少しずつ削られ、最後には「そんなものは最初からなかった」と扱われてしまいます。

だからこそ、明文化が必要なのです。

明文化しない職能は、いずれ存在しなかったことにされる。

あん摩マッサージ指圧を「揉むだけ」に閉じ込めないためには、本来の職能を言葉にし、制度の中に残す必要があります。
 

厚労省通知案:解釈明確化

あん摩マッサージ指圧師は、その施術目的の範囲において、筋緊張の緩和、関節可動域の維持改善、疼痛の軽減等に加え、起立動作、立位保持、移乗動作及び歩行に関する動作の誘導・支援その他の身体機能の維持改善を目的とした運動的関与を行うことができる。

あはき法 追記案

第○条

あん摩マッサージ指圧とは、人体に対する手技により、血行の改善、筋緊張の調整、疼痛の軽減及び関節機能の維持改善を図るとともに、起立、立位保持、移乗及び歩行その他の日常生活動作に関する身体機能の維持改善を目的として行う一切の施術をいう。

前項の施術は、理学療法士及び作業療法士法に基づく理学療法士の業務を排除するものではなく、医師の診療の補助として行われる理学療法とは区別される。

 

 

 

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2026年04月25日

あん摩マッサージ指圧は、揉むだけの技術ではない。

 

あん摩マッサージ指圧は「揉むだけ」の技術ではない

あん摩マッサージ指圧は、単に臥位で身体を揉むだけの技術ではありません。その歴史を振り返ると、

日本のリハビリテーション黎明期において、理学療法士制度が成立する以前から、

あん摩マッサージ指圧師や理療士系の職員が、機能訓練に深く関与していた実態が確認できます。
 

理学療法士制度以前から存在した「機能訓練」への関与

リハビリテーションセンター鹿教湯病院の実践を振り返った市川英彦らの論文では、鹿教湯の初期について、当時はまだ「理学療法士及び作業療法士法」が制定されておらず、科名も「理学診療科」であり、盲学校の卒業者である理療士やその助手が訓練に当たっていたことが示されています。

これは、理学療法士制度が整備される以前の医療現場において、理療士系職員が現在のリハビリテーションに近い領域を担っていたことを示す重要な事実です。
 

歩行訓練はマッサージと無関係ではなかった

また、肢体不自由児教育の現場においても、治療内容としてマッサージ、歩行訓練、治療体操などが同じ機能訓練体系の中に位置づけられていました。

さらに、理療師が機能訓練の担当者として配置されていたことからも、歩行訓練がマッサージと無関係な別領域として扱われていたわけではないことがわかります。

つまり、歩行訓練や起立、立位保持、移乗動作などは、身体機能を維持・改善するための治療的訓練の一部として、マッサージや治療体操と一体的に扱われてきた歴史があります。
 

昭和40年の国会答弁が示す重要な事実

昭和40年の国会答弁では、病院マッサージ師について、PT法制定以前から「ほぼ理学療法と同じような療法」を行っていた者が相当数いたと、政府委員が述べています。

「病院におきましていわゆる病院マッサージをやっておられる方につきましては、従来この種の、この法律はございませんでしたけれども、ほぼ理学療法と同じような療法をやっておられる方が相当数あるわけでございます。」

この答弁は、あん摩マッサージ指圧師の業務を、単なる揉捏や慰安的マッサージに限定する理解が、制度形成の過程や当時の実態と合わないことを示しています。
 

あん摩マッサージ指圧師と理学療法士は同一資格ではない

もちろん、あん摩マッサージ指圧師が理学療法士と同一の資格になるわけではありません。理学療法士には理学療法士としての制度上の位置づけがあり、医師の指示のもとで理学療法を行う専門職としての役割があります。

一方で、あん摩マッサージ指圧師もまた、単なる慰安的なマッサージに限定される存在ではありません。
 

あん摩マッサージ指圧の職能的範囲

あん摩マッサージ指圧では、施術目的に応じて、以下のような内容を一体的に行うことが考えられます。

  • 筋緊張の緩和
  • 疼痛の軽減
  • 関節可動域の維持・改善
  • 起立動作の支援
  • 立位保持の確認
  • 移乗動作の誘導
  • 歩行誘導
  • 身体機能の維持・改善を目的とした運動的関わり

これらは、あん摩マッサージ指圧の歴史的・職能的範囲の中で理解されるべきものです。
 

あん摩マッサージ指圧とは

あん摩マッサージ指圧は、「寝かせて揉むだけ」の技術ではありません。

日本のリハビリテーション黎明期には、理療士や病院マッサージ師が、機能訓練や理学療法的な領域に関与していた実態があります。

また、歩行訓練や治療体操も、マッサージと同じ機能訓練体系の中で扱われてきました。

したがって、あん摩マッサージ指圧師の業務を、単なる揉捏や慰安的マッサージに限定する理解は、歴史的実態にも制度形成過程にも合いません。

あん摩マッサージ指圧は、筋・関節・疼痛・動作・生活機能に対して総合的に関わる、身体機能の維持改善を目的とした専門的手技であると考えられます。
 

参考資料

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2026年02月08日

訪問マッサージのイラスト

ベッド上30度側臥位訪問マッサージの施術の説明や情報共有を行う際に、イラストを活用することは非常に有効です。

文章だけでは伝わりにくい体勢や関節の位置、筋肉の状態、痛みが出る動作なども、図で示すことで一目で理解できます。
 

特に高齢の利用者様やご家族は専門用語に慣れていないため、視覚的に説明することで安心感にもつながります。
 

また、ケアマネジャーや医師、訪問看護など他職種との連携においても、イラストがあると状態の共有がスムーズになり、認識のズレを防ぐことができます。

さらにブログ発信においても、施術内容や効果をわかりやすく伝えるためにイラストは強力な武器になります。

文章に加えて図解を入れることで読者の理解度が上がり、信頼性や専門性も高まります。
 

訪問マッサージの施術の情報を正確に伝えるために、今後は積極的にイラストを取り入れていきたいところです。

 

 

マッサージZERO

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