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2026年04月25日

あん摩マッサージ指圧法、通知の明文化の必要性

なぜ「あん摩マッサージ指圧は揉むだけ」にされやすいのか

明文化されない職能は消される

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結論から言えば、「もともと出来ること」であっても、制度上きちんと明文化されていなければ、やがて出来ないものとして扱われるようになります。

これは単なる感覚論ではありません。制度の世界では、書かれていることが強く、書かれていないことは弱い。たとえ歴史的には行われていたとしても、条文や通知、運用基準の中に言葉として残されていなければ、後の時代には「そんな業務は認められていない」と扱われてしまうのです。

あん摩マッサージ指圧が「揉むだけ」の技術だと誤解されてきた背景にも、この問題があります。
 

「書かれていない職能」は弱くなる

あはき法は、あん摩マッサージ指圧の内容を細かく定義していません。一方で、理学療法士法では、運動療法や基本動作能力の回復といった内容が具体的に示されています。

そのため現場では、「具体的に書かれている理学療法士の方が正しい」「書かれていないあん摩マッサージ指圧では、歩行や運動に関わってはいけないのではないか」という受け止め方が生まれます。

つまり、法律が禁止していなくても、明文化されていないだけで、現場では否定的に扱われてしまうのです。制度の世界では、沈黙は中立ではありません。沈黙は、しばしば否定として運用されます。
 

現場は条文ではなく「運用」で動く

実際に現場で判断するのは、法律学者ではありません。保険者、審査機関、ケアマネジャー、医師、施設職員などです。

多くの場合、彼らは歴史的経緯や職能論を細かく検討するのではなく、「制度上どこに書いてあるのか」「通知に明記されているのか」「請求上どう扱うのか」で判断します。

その結果、あん摩マッサージ指圧師が起立動作、立位保持、移乗動作、歩行誘導などを行っていても、「それはマッサージではないのではないか」「リハビリではないのか」「PTの仕事ではないのか」と言われてしまうのです。
 

明文化されていない業務は、後から否定される

さらに問題なのは、明文化されていない業務は、後から否定されやすいということです。

最初は問題なく認められていたとしても、ある時点で保険者や審査側の見解が変われば、「それはあん摩の範囲外です」と言われる可能性があります。

返戻、不支給、指導、監査という形で、後出し的に否定される危険が残り続けるのです。

制度の世界では、職能は「実際にできるかどうか」だけでは守られません。「制度上どう書かれているか」によって守られます。

書かれている職能は強く、書かれていない職能は弱い。この差が、時間とともに大きな力の差になります。
 

歩行はPT、マッサージは揉むだけという誤解

その典型が、「歩行=理学療法士」「マッサージ=揉むだけ」という現代的な誤解です。

本来、あん摩マッサージ指圧は、筋肉や関節、疼痛、動作、生活機能に関わる総合的な手技であり、歴史的にも機能訓練や運動的関わりと切り離されたものではありませんでした。

しかし、その領域があん摩マッサージ指圧側の職能として明確に言語化されなかったため、後の制度運用の中で見えにくくなってしまいました。

そして、見えにくくなった職能は、やがて「存在しなかったもの」として扱われます。
 

これは職域の生存に関わる問題である

これは単なる技術論ではありません。あん摩マッサージ指圧は、視覚障害者の重要な職域でもあります。

その職能が「揉むだけ」に狭められていけば、高度な身体機能への関与や、生活動作の維持改善に関わる領域から排除され、低付加価値の職種として固定されてしまう危険があります。

つまり、これは「歩行をしてよいかどうか」という小さな話ではありません。職能の生存に関わる問題です。
 

明文化とは、本来の職能を制度に残すこと

明文化とは、新しい権利を無理に増やすことではありません。本来持っていた領域を、制度の中から消されないように言葉として固定することです。

あん摩マッサージ指圧が本来、筋・関節・疼痛・動作・歩行を含む身体機能に関わる専門的手技であるなら、そのことを制度上も明確に示す必要があります。

そうしなければ、歴史的には存在した職能であっても、運用の中で少しずつ削られ、最後には「そんなものは最初からなかった」と扱われてしまいます。

だからこそ、明文化が必要なのです。

明文化しない職能は、いずれ存在しなかったことにされる。

あん摩マッサージ指圧を「揉むだけ」に閉じ込めないためには、本来の職能を言葉にし、制度の中に残す必要があります。
 

厚労省通知案:解釈明確化

あん摩マッサージ指圧師は、その施術目的の範囲において、筋緊張の緩和、関節可動域の維持改善、疼痛の軽減等に加え、起立動作、立位保持、移乗動作及び歩行に関する動作の誘導・支援その他の身体機能の維持改善を目的とした運動的関与を行うことができる。

あはき法 追記案

第○条

あん摩マッサージ指圧とは、人体に対する手技により、血行の改善、筋緊張の調整、疼痛の軽減及び関節機能の維持改善を図るとともに、起立、立位保持、移乗及び歩行その他の日常生活動作に関する身体機能の維持改善を目的として行う一切の施術をいう。

前項の施術は、理学療法士及び作業療法士法に基づく理学療法士の業務を排除するものではなく、医師の診療の補助として行われる理学療法とは区別される。

 

 

 

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2026年04月25日

あん摩マッサージ指圧は、揉むだけの技術ではない。

 

あん摩マッサージ指圧は「揉むだけ」の技術ではない

あん摩マッサージ指圧は、単に臥位で身体を揉むだけの技術ではありません。その歴史を振り返ると、

日本のリハビリテーション黎明期において、理学療法士制度が成立する以前から、

あん摩マッサージ指圧師や理療士系の職員が、機能訓練に深く関与していた実態が確認できます。
 

理学療法士制度以前から存在した「機能訓練」への関与

リハビリテーションセンター鹿教湯病院の実践を振り返った市川英彦らの論文では、鹿教湯の初期について、当時はまだ「理学療法士及び作業療法士法」が制定されておらず、科名も「理学診療科」であり、盲学校の卒業者である理療士やその助手が訓練に当たっていたことが示されています。

これは、理学療法士制度が整備される以前の医療現場において、理療士系職員が現在のリハビリテーションに近い領域を担っていたことを示す重要な事実です。
 

歩行訓練はマッサージと無関係ではなかった

また、肢体不自由児教育の現場においても、治療内容としてマッサージ、歩行訓練、治療体操などが同じ機能訓練体系の中に位置づけられていました。

さらに、理療師が機能訓練の担当者として配置されていたことからも、歩行訓練がマッサージと無関係な別領域として扱われていたわけではないことがわかります。

つまり、歩行訓練や起立、立位保持、移乗動作などは、身体機能を維持・改善するための治療的訓練の一部として、マッサージや治療体操と一体的に扱われてきた歴史があります。
 

昭和40年の国会答弁が示す重要な事実

昭和40年の国会答弁では、病院マッサージ師について、PT法制定以前から「ほぼ理学療法と同じような療法」を行っていた者が相当数いたと、政府委員が述べています。

「病院におきましていわゆる病院マッサージをやっておられる方につきましては、従来この種の、この法律はございませんでしたけれども、ほぼ理学療法と同じような療法をやっておられる方が相当数あるわけでございます。」

この答弁は、あん摩マッサージ指圧師の業務を、単なる揉捏や慰安的マッサージに限定する理解が、制度形成の過程や当時の実態と合わないことを示しています。
 

あん摩マッサージ指圧師と理学療法士は同一資格ではない

もちろん、あん摩マッサージ指圧師が理学療法士と同一の資格になるわけではありません。理学療法士には理学療法士としての制度上の位置づけがあり、医師の指示のもとで理学療法を行う専門職としての役割があります。

一方で、あん摩マッサージ指圧師もまた、単なる慰安的なマッサージに限定される存在ではありません。
 

あん摩マッサージ指圧の職能的範囲

あん摩マッサージ指圧では、施術目的に応じて、以下のような内容を一体的に行うことが考えられます。

  • 筋緊張の緩和
  • 疼痛の軽減
  • 関節可動域の維持・改善
  • 起立動作の支援
  • 立位保持の確認
  • 移乗動作の誘導
  • 歩行誘導
  • 身体機能の維持・改善を目的とした運動的関わり

これらは、あん摩マッサージ指圧の歴史的・職能的範囲の中で理解されるべきものです。
 

あん摩マッサージ指圧とは

あん摩マッサージ指圧は、「寝かせて揉むだけ」の技術ではありません。

日本のリハビリテーション黎明期には、理療士や病院マッサージ師が、機能訓練や理学療法的な領域に関与していた実態があります。

また、歩行訓練や治療体操も、マッサージと同じ機能訓練体系の中で扱われてきました。

したがって、あん摩マッサージ指圧師の業務を、単なる揉捏や慰安的マッサージに限定する理解は、歴史的実態にも制度形成過程にも合いません。

あん摩マッサージ指圧は、筋・関節・疼痛・動作・生活機能に対して総合的に関わる、身体機能の維持改善を目的とした専門的手技であると考えられます。
 

参考資料

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